コロナ渦に修学旅行に行かせるべきか?

雑記

ツイッターで修学旅行のやる・やらないについて議論が有ったので考察してみました。

結論を先に書くと、ひろゆき氏の言う通り、受け入れ先次第に思えます。

それでは、私の考察内容を挙げていきます。

目次

前提

高校生の修学旅行で考える

私の調査した情報では修学旅行に行く10代はひとくくりになっているため、小学校、中学校、高校でどれだけ陽性率が違うか判りません。今回は、10代の中でも行動範囲が広く陽性率が比較的高いと思われる高校生をターゲットとして陽性率の指標を立てて計算します。

旅行中のリスクは高くなる

バスや新幹線での移動になるので、どうしても密になりやすいです。
また、いつもと違う雰囲気のため会話も弾むため飛沫が飛びやすい状況と言えるでしょう。
感染リスクを抑えることを考えたら、換気や会話の制限をするなどの対策は必要でしょう。

ピーク時の陽性者数を基準に考える

本件の調査を始めたタイミング(2021年8月27日)がほぼ新規陽性者のピークだったため、この水準を基準にして考えます。

修学旅行に行く場合、この緊急事態宣言と同水準で行くことは到底考えられませんが、学校によって修学旅行に行くタイミングが違うため、高い水準で考えます。

陽性、感染、発症はそれぞれ違う

陽性、感染、発症については以下の通りです。

  • 陽性:ウィルスを吸入した状態。体内で増殖する・しないに関わりません。
  • 感染:ウィルスを吸入し、体内で増幅した状態。症状の出る・出ないに関わりません。
  • 発症:症状が出た状態です。

普段言われている「陽性者数」は、感染すらしていない、たまたまウィルスが見つかった状態の人の人数を含めています。

修学旅行は感染が落ち着いてから、今からの計画ならお早めに

多くの都道府県で緊急事態宣言が9月末まで続く発表が出ている現状、修学旅行は10月以降にならないといけないであろう事が予想されます。

冬には再度感染者数が増加する懸念に加え、新たな変異種の話も出てきているため、まだ計画を立てていない場合は早めに計画を立てることをお勧めします。

新型コロナウィルスについて

新型コロナウィルスの特徴を載せます。

こちらの情報を元にどのような対策が出来るか考えてもらえればと思います。

陽性率

本記事では高校生が学校に通っている場合の1日あたりの陽性率を0.0300%として考えます。

この数値はかなりリスクを取った値にしていますが、実際に旅行に行く際にどこまで下がった状況か予想出来ないため参考までに高い数値としています。

この数値は、陽性率がほぼピークとなった 2021年8月27日時点の値をベースに考えています。
詳しい算出方法は後述しますが、この時点の10代の陽性率は0.0152%。ただし10代の中でも高校生は活動範囲が広いので、多めに見込んで0.0300%としました。

症状

以下の図を見ると10代の重症化率はかなり低い事が判りました。
軽症、中等症についての情報は見つかりませんでしたが、重症化率が低い事を考えると10代は発症しても症状が軽めになりやすいのでしょう。

死者数

2021年9月1日、新型コロナウィルスで初めて10代の方が1名亡くなり、ニュースでも報道されました。2021年9月19日時点では他には報告が有りません。

比較としてインフルエンザの死者数について調べてみました。政府統計の総合窓口(e-Stat)を見ると2015年から2019年の間、毎年インフルエンザで数人単位で亡くなっています。一番少なかった2015年ですら2名なので、1年半続いている新型コロナウィルスに比べたら10代の死者数は確実に少ない事が言えます。

もっとも、過去のインフルエンザとの違いとして、多くの方がマスクをして感染対策をして新型コロナウィルスの感染を抑えている点が挙げられます。そのため、10代にとってコロナよりもインフルの方が危険とは言い切れません。

重症化リスク

糖尿病リソースガイドの情報を見ると重症化リスクが有る人の致死率を1倍とした時、無い人の致死率は0.2倍以下という事が判ります。
ここで言っている重症化リスクは以下の通りです。

  • 慢性腎臓病
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心血管疾患
  • 肥満(BMI 30以上)
  • 喫煙
  • 妊娠後期

該当する項目が多い人ほど重症化の可能性が高くなるそうです。もっとも、年代によってかなりバラツキが有るので、あくまで参考まで。

後遺症

日本の情報では見つからなかったのですが、イスラエルの保険省が出した情報によると、感染した子どもの11.2%に息苦しさや倦怠感、味覚異常、嗅覚異常などの後遺症が残ったそうです。

さらに、感染した子供の1.8~4.6%は半年経っても後遺症が残るそうです。

発症時の症状よりも後遺症の方が懸念されるでしょう。

感染経路

私が以前書いた記事から流用しますが、7月中旬(夏休み前)の感染経路の傾向を見ると、学校での感染は25%程度、家庭での感染は65%程度です。

このことから考えられるのは、多くの場合は家庭で感染してそれを学校で広めるという事でしょう。

逆のケースもあるけれど、多くの場合はご両親からお子さんにうつすと思った方が良いです。

高校生は小中学生と比べて家庭外の陽性率が高くなると思いますが、それでも家庭での感染はある程度高いと考えています。

現在、ご両親世代の方のワクチン接種が進んでいるため、今後は家庭内での感染は少なくなってくると思いますが、ワクチンを接種していても感染することは有るので、全く0になる訳では無いでしょう。

ワクチンの安全性

ワクチンは打たないより打った方がはるかに安全です。

mRNAワクチンは新しいワクチンと言われていますが研究自体は1990年始まり、人体への接種は2017年からとのことです。(国立感染症研究所)

接種後、長期的な安全性の懸念を耳にしますが、長期的なデータ収集により危険性はほとんど無いようです。(Yahooニュース)

ワクチン接種の危険性よりも、ワクチンを打たない事による危険性の方が現在までのデータから判明しています。
未成年者は将来の危険性を考えて打たないという人もいますが、先述の通りコロナが発症した場合に半年以上後遺症が残るケース有ります。ワクチンを接種することで、後遺症のリスクを下げることも考えた方が良いでしょう。

参考までに、過去に調査した際に見つけたワクチンの副反応に関する情報を紹介します。細かい年代別の情報が無いですが、この情報を見る限りワクチンの副反応リスクよりワクチンを打たないリスクの方が高い事が判ります。

対策

修学旅行に行くことで陽性率が上がるので、その対策を考えます。

細かい事を挙げたらキリが無いので、まずは大きく以下の2点に絞って考えます。

  • 旅行時の陽性率を抑える
  • 旅行前後の期間の陽性率を抑える

それぞれについて書いていきます。

旅行時の陽性率を抑える

旅行時には気が緩みがちなので、しっかり対策をすることで陽性率を下げる考えです。

大きく分けてお金をかけない対策と、かける対策が有ります。

それぞれについて解説します。

お金をかけない対策

以下が考えられます。

  • 食事、風呂、睡眠以外はマスクを着用する
  • 食事中は向き合わない、喋らない

学校生活ほど 陽性率 をおさえられるか判らないですが、有効性は考えられます。

懸念を挙げるとしたら、教職員の目が届かないところではマスクの着用がおろそかになり兼ねない点です。この辺は各自の行動を信用するしかないでしょう。

この辺は各自の行動を信用するしかないでしょう。

お金をかける対策

以下が考えられます。

  • 移動時に座席を多く確保する
  • 宿の部屋は個室にする
  • PCR・抗原検査を受ける

前者二つは密になる事を避けることになるため、場合によっては学校生活よりも陽性率を抑えることが出来ます。

懸念を挙げるとしたら、教職員の目が届かないところでは密になりかねないという点です。

最後の検査ですが、あまり現実的では無いですが一応載せておきました。

PCR検査は発症2日前から検査が出来るため、修学旅行前に念のため実施することも可能ですが、タイミングが早すぎると偽陰性になる可能性が有りますし、そもそも検査の精度がそれほど高く無いです。また、検査数も多くなるので全員の検査結果が出るまでに期間を要してしまう可能性が有ります。

抗原検査は発症した人で無いと検出出来ないです。一応、一般人でも簡単に検査が可能ですが、やるとしたら最低でも旅行出発日、可能なら旅行中毎日実施することになり、費用との相談になります。また、出発後に陽性者が見つかった場合にどうするかは考えておいた方が良いでしょう。

旅行前後の期間の陽性率を抑える

旅行時に陽性率が上がるのはある程度仕方が無いとして、その前後の陽性率を抑えることでトータルの陽性率を抑えるという考え方です。

ダイエットと近い考え方で、旅行に行くとどうしても食べ過ぎてしまうけど、楽しみを我慢して食べないケースに対して、旅行の前後に少し抑えつつ、旅行時はほどほどに楽しむケースのような感じです。トータルで増えすぎなければOKという事です。

コロナはダイエットと違って「罹ったらNG」という考え方はもちろん有るのですが、対策して確率を下げていても罹る時は罹ります。

そもそも、多めに見込んでも1日辺りの陽性率が0.030%なので、それが数日だけ倍になっても、たかが知れていますし、修学旅行に行かなくてもかかる時はかかります。それよりも、日々の陽性率を抑える行動の方が長期間で考えて重要という事です。

なお、旅行の前だけでなく、後の陽性率を抑える理由ですが、ご両親への感染を抑えるためです。修学旅行から帰ってきてから、「実はうつされていて、家族にもうつしてしまいました」だと旅行の思い出は辛いものになってしまうので。

長期で考えるという意味では、ご両親がワクチン接種するのもかなり有効でしょうね。本人が接種するのも根本的な予防として有効ですが、家計への影響と陽性率で考えたらご両親が先でしょうね。

詳しい事は次のシミュレーションで、先述の「旅行時の陽性率を抑える」と合わせて考えます。

シミュレーション

先述の「旅行時の陽性率を抑える」、「旅行前後の期間の陽性率を抑える」を考慮してシミュレーションしてみます。

このシミュレーションは30日の期間でどの程度の陽性率になるか、以下のケースで考えます。

  1. 修学旅行に行かない30日間のケース
  2. 30日の間に修学旅行4日間行き、旅行中はしっかり対策(※1)をするケース
  3. 30日の間に修学旅行4日間行き、旅行中の対策は程々(※2)するケース
  4. 30日の間に修学旅行4日間行き、旅行中の対策は程々(※2)、旅行前後の各2週間を程々に対策(※3)にするケース

それぞれのケースの30日後の陽性率は以下の通りです。

ケース30日後の陽性率
10.90%
20.84%
31.02%
40.88%

先述の通り、この数値は第5波のピーク時の数値を元に考えた確率です。最後に計算方法は載せておきますので、皆さんも旅行時の1日あたりの陽性率を予想して計画を立てて頂ければと思います。

※1:陽性率を通常の半分(1日の陽性率0.015%)。先述の「お金をかけない対策」と「お金をかける対策」をした上で、各自がしっかりと注意した状態を想定しています。

※2:陽性率を通常の2倍(1日の陽性率0.060%)。先述の「お金をかけない対策」だけしつつ多少気が緩んでいる状態を想定しています。

※3:陽性率を通常の2/3倍(1日の陽性率0.020%)。家でもマスクを付ける等で対策をしている状態を想定しています。

※各陽性率は、筆者が適当に決めた数値です。実際の陽性率とは違うので参考までに。

まとめ

最終的に行くか行かないかは当事者たちで検討して決定していただきたいですが、私の想いとしては以下の2点です。

  • しっかり思い出を作ってほしい 
  • リスクの度合いを考えてほしい

「思い出」については、社会人になると友達同士で予定を合わせて旅行にいくのが難しくなります。学校側からの制約が有るにしても、学生だから出来る旅行だと思います。私の立場から言わせてもらうと、自分が行ったのだから子供たちにも行ってもらいたいという思いが有ります。(ウチの子はまだ学校にもあがって無いのでかなり先の話ではありますが)

「リスク」については、「症状」でも挙げましたが、ご両親世代と比べて未成年者の感染時のリスクは極端に低いですし、「死者数」でも挙げた通り現状の対策でインフルエンザよりも亡くなる方は少ないです。多くの人が不安になる点としては、「後遺症」が長期間にわたる可能性がそれなりに有る点しょう。しかし、旅行に行かなくても感染する人はいますし、「シミュレーション」からも判る通り旅行前後の陽性率を下げることが重要と言えるでしょう。

そのため、修学旅行に行きたい、行かせたいという思いが有るのであればまずは家庭内感染を下げるのが特に有効でしょう。一番有効なのはワクチン接種ですが、旅行の前後も感染対策をしっかりすることでより安心して行かせることが出来るでしょう。

ワクチン接種の優先順位は、ご両親が接種し、その次に旅行に行く本人だと私は考えています。理由は「感染経路」でも挙げた通り家庭内で感染するケースが多いからです。多くの地域では高齢者から優先しているため、この優先順位通りになると思っています。

8月以降、65歳未満の方のワクチン接種状況が伸びているので、お子さんの感染リスクはだんだん下がるものと予想できます。

恐らく、9月末まで多くの都道府県で緊急事態宣言が続いているため、修学旅行は10月以降になると予想していますが、その間に出来うる対策をしっかりしておけば比較的安全に修学旅行に臨めるのではないでしょうか。

懸念を挙げると、新たな変異株の増殖が考えられます。変異株によってはワクチンの効果が薄れるものもあるため、流行状況には気を付けた方が良いでしょう。

そのため今から計画して早めに旅行に行くことをお勧めします。

最後に、コロナ渦はいつまで続くか判りません。ある程度上手にコロナウィルスと付き合っていくことも考えなければいけない時期に来ていると思います。あまり気を緩めすぎるのは危険ですが、締め付けすぎるのも良く無いです。メリハリをつけて行動出来るように考えて頂ければと思います。

補足

1日あたりの陽性率算出方法

  • 東京都福祉保健局の情報を元に高校生の陽性率を考える場合、夏休み前の7/13~19を元に考えます。陽性者全体の7.6%が10代という事になっています。この割合は東京都の割合だけど、日本全国で考えても同じと考えます。(地域によって年齢の分布が違うだろうけど、詳細が見つからなかったため)
  • 政府統計の総合窓口(e-Stat)の情報を見ると、10代の合計人数は1142万人。
  • 文部科学省の情報では高校生の人数は約300万人なので1学年は約100万人と想定。
  • 10代の内の高校生1学年の人数は100万/1142万人なので、陽性者全体に対する高校生1学年の陽性率は0.6655%ということになります。
  • こちらの情報では、8/27時点の日本の陽性者7日間平均は22,798人なので高校生1学年の陽性者は22,798人の0.6655%の約152人となります。
  • 高校生1学年の陽性者は100万人中152人の0.0152%。
  • 先述の通り、10代の中でも高校生の陽性率は高いと想定出来るので、1日の陽性率は0.03%とする。

旅行中の陽性率算出方法

先述のシミュレーションについて、計算方法を記載します。

時期によって陽性率が変わるので、実際の旅行時期を考えて求めてもらえればと思います。
また、ここで書いているのは陽性率ではなく陽性率です。

一定期間の陽性率は以下のように求めることが出来ます。

一定期間の陽性率 = 100% - ((100% - 1日あたりの陽性率) の 日数乗)

つまり、1日あたりの陽性率が0.0210%で、日数が10日なら以下のようになります。

100% - ((100% - 0.0300%) の 10乗)
= 100% - (99.979% の 10乗)
≒ 100% - 99.79% ※小数第三位以下四捨五入
= 0.21%

また、時期によって陽性率が異なる場合は以下の計算式になります。

100% - ((100% - 期間Aの陽性率) × (100% - 期間Bの陽性率) × (100% - 期間Cの陽性率)・・・)

したがって、先述の「30日の間に修学旅行4日間行き、旅行中の対策は程々、旅行前後の各2週間をほどほどに対策にするケース」は以下の計算式で求めました。

100% - (
 (100% - (100% - ((100% - 0.021%) の 12乗)))
 × (100% - (100% - ((100% - 0.042%) の 4乗)))
 × (100% - (100% - ((100% - 0.014%) の 14乗)))
=100% - (
 (99.979% の 12乗)
 × (99.58% の 4乗)
 × (99.986% の 14乗)
≒100% - (約99.75% × 約99.83% × 約99.83%)
≒100% - 約99.39
≒0.61% ※すべてまとめて計算した結果です。小数第3位以下を四捨五入して考えると少し変わります。

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