東京都の4回目の緊急事態宣言は有効だったのか?

雑記

7月12日から東京都の緊急事態宣言が発令されました。

この緊急事態宣言は適切だったのか?

結論を先に書くと、あまり意味が有りません。 皆さんも何となく気付いていたと思いますが。

なぜ意味がないのか、確認してみましょう。

目次

現状の確認

まずは一般に公表されている情報から感染状況を確認します。

新規陽性者数の推移確認

当初の想定通り陽性者数が増加していることがうかがえます。

感染力が強いデルタ株が日本国内でも増えてきているので、この増加は仕方が無いとも言えます。

3月末からの新規陽性者数の年代別割合を見ると、50代以下がほとんどだという事が判ります。この割合を見ると、だんだんと60代以上の割合が減っていることが判ります。ワクチン接種の影響と言えるでしょう。

軽症・中等症者の推移

陽性者数の増加に比例して軽症・中等症者は増えています。

2020年4月頃にこの人数が増えた理由を推察すると、感染拡大を抑えるための対処だったのでしょう。この軽症・中等症の人数は、入院した方のみカウントされるようです。実際、重症者と軽症・中等症の人数を合算したら入院者数と合致することの確認が取れました。陽性者数は現在と比べてかなり少ない事も考えると、試行錯誤で感染拡大を防ぐために症状出たらとりあえず入院させていた、というのが現実だったのかと予想しています。後述する「 入院患者数の推移 」も合わせて見て頂けると判り易いと思います。

なお、軽症・中等症の年代別推移は見つかりませんでした。

重症者の推移

重症者の推移はやや抑えられているように見えます。これはワクチンの接種の影響が大きい様です。
実際、50代までの重症者数は最新と5/15辺りであまり変わりませんが、その上の年代の重症者数は減っています。

本来であれば他のグラフと同じ期間のデータを示したかったのですが、他に良いデータが見つからなかったためこのデータを採用しました。

入院患者数の推移

入院患者数は病床数に対して1/3強でした。自宅待機者数が伸びている事を考えると、入院が不要なほどの軽症な人が多いという事でしょう。ワクチン接種数が増えている事と、若者は重症化しにくい事が要因だと予想しています。

入院患者の年代別の推移を見ても、60代以上の比率が下がっている事から、やはりワクチンの有効性が示されていると言えるでしょう。

3月頃、60代以上の方が多かった理由を推察すると、その前まで60代以上の重症や中等症の方が多くて、後遺症により退院できなかった可能性が考えられました。

死者数の推移

5月頃からご高齢者のコロナワクチンの接種が進んでいる事も有り、7月に入ってからは1人か2人程度です。

ワクチンの接種状況

東京都のワクチン接種状況は以下の通りです。

出典:NHK
出典:NHK

恐らく、現時点で未接種の方の多くは今後も摂取しない可能性が考えられます。 こちらの情報を見ると、東京都の65歳以上の方の人口は約300万人なので、 残り50万人ほどの高齢者の接種が終われば高齢者への接種は完了すると思っても良いでしょう。(7月22日のデータを元に算出しています。本当は全員摂取した方が良いと思いますが。)

感染経路の傾向

感染経路を見ると、会食(つまり飲食店)での感染が多いですが、それよりも職場での感染が多いです。

感染者数の増加予想

現在、デルタ株の感染拡大が叫ばれています。
この先どうなるのか、デルタ株の感染で大きく取り上げられたイギリスを例として見てみます。
なお、詳しく見ていく前に、少し長くなるので結論だけ先に書きますが、感染者数は増えるけど死者数は増えないと予想しています。

上記を見ると、5月の最初頃に底をついて、このころからデルタ株の感染者がだんだんと増えてきています。

次に、イギリスの直近の感染者(下の左)と死者数(下の右)を見てみましょう。
感染者は5月の20倍ほどに膨れ上がっていますが、死者数が少ないです。

出典:google
出典:google

以下に、長期間の推移を挙げます。
下の左が感染者、右が死者数です。

出典:google
出典:google

これを見て判る通り、デルタ株は感染者こそ劇的に増えるものの、死者数は全く増えていません。

なお、ワクチン接種により死者数が抑えられている可能性も考えられますが、1回摂取の割合は7割程度です。

出典:google

仮にデルタ株の致死率が他の株と同程度だったとしてワクチンが無い場合、1月頃の傾向から見ても数百人の死者数が出ていてもおかしくは有りません。

イギリスでも高齢者を優先してワクチン接種をしているようなので、死亡リスクが高い人はほとんどワクチン接種しているため、重症化、死亡リスクが抑えられていると予想できます。

ワクチンの接種状況を見ると今後も摂取が続くといえ、感染者数に違いは有るにしても東京でもイギリスと似たような割合で感染者数が増加すると予想出来ます。しかし、感染者だけが劇的に増えて死者はそこまでは増えない状況となるでしょう。

デルタ株発症による症状と影響

先述のイギリスの状況を見ていると、今後はデルタ株が感染の主流になるでしょう。

ここでは、デルタ株が発症した際の症状と影響を挙げます。

症状

まず、主な症状ですが従来型と比較して次のようになっています。

  • 従来型
    発熱、せき、疲労感
  • デルタ株
    発熱、せき、鼻水、下痢、頭痛

感染力

デルタ株の感染力は強いという話はあるけれど、従来の○倍といった明確な数字は見つかりませんでした。見つかるのはコチラのようなシミュレーションばかりでした。

ただ、明確な数字が判らないにしてもイギリスの例を見ると感染力は高いようなので用心はした方が良いでしょう。

重症化率

従来型と比較して重症になりやすいといった話もありますが、実際に重症化率が高い証拠は無いようです。
また、以下の情報が見つかりました。

「変異ウイルスは、感染力が強いだけでなく重症化しやすいという見方が多くなっている」

~中略~

「感染者数が増えたことで軽症者や無症状者をキャッチできておらず、いわば氷山の一角しか捉えられていないため、重症者が多いように見えている可能性も否定できない」

引用元:NHK

重症者の推移 」を見ても、ワクチン接種率が低い50代以下の重症者の傾向は5月頃とそれほど変わらないようなので、やはり重症化しやすいとは言いにくいように見えました。

後遺症

デルタ株に関する情報は見つかりませんでしたが、今後、確実に影響する話なので載せておきます。

以下を見ると、発症時の重症度が高いほど後遺症が残りやすい事が判ります。

特に影響が出やすいのが筋力低下で、重症だった場合は77.3%の確率で、中等症1の場合は41.3%で残っています。このほかにも息苦しさや倦怠感が残る可能性があります。

各症状の割合は、重症が0.8%、中等症が30%以下、軽症が70%以上なようです。(「 軽症・中等症者の推移 」「入院患者数の推移」から、宿泊療養、自宅待機は軽症として算出。重症以外の入院患者は中等症か軽症かの区別が無いため中等症として算出しています。)

軽症の方に後遺症が残る確率は示されていませんが、中等症1よりは確率が下がると予想できます。ただ、この傾向をみると、発症した場合はある程度後遺症が有ると覚悟した方が良さそうです。

なお、デルタ株については国内で感染が確認されてからの期間が短いため後遺症についての情報が見つかりません。海外の情報も、用語が統一されていないようで詳しい事が判りませんでした。

緊急事態宣言について

4回目の緊急事態宣言について記します。

詳細はコチラを参照頂くとして、まん防との違いは以下の通りです。

出典:東京新聞

なお、感染経路として比較的多い「職場への出勤」の対策は、テレワークの活用等で「出勤者数の7割削減を目指す」とも書かれていますが、これはまん防と変わりません。

協力金について

コチラの情報によると、時短などに協力した企業に対し、1日辺り4万円を下限として28日分、合計112万円以上を支給するとのことです。

過去の協力金が未支給のままのケースも有り、さらに、4回目の緊急事態宣言に伴う協力金を優先して払う代わりに5月以降の協力金を遅らすといった事も言われています。

出典:東京新聞

正直なところ、詐欺とも取れる行為です。仮に、企業や一般の方が税金滞納したら延滞税をとるのだから、早急に支払うのが筋でしょう。

リモートワークの状況

リモートワークの実施状況は正直なところ悪いです。

通勤時間の混雑具合は曜日によって異なりますが、中央線では隣の方と肩が触れるくらいの混雑具合の時があります。

以下の図からも、リモートワークが比較的やりやすい情報通信業ですら実施率が50%程度。平均時間で言うと1週間に20時間を切るので、週の稼働時間を40時間とすると半分に達していません。

これまでの緊急事態宣言の期間

今年に入ってからの緊急事態宣言について可視化した画像が有りました。

これで本当に緊急事態宣言の効果が有るのか判りません。

結論

本当はまだ調べたい情報が有りましたが、キリが無いのでここで結論を出します。

私は医療関係者でも政治に詳しい訳でも無いので、ここから私が出す結論を鵜呑みしないで、一つの意見として考えてもらえればと思います。それでは、結論を挙げます。

4回目の緊急事態宣言は、効果が薄いでしょう。

緊急事態宣言の効果が薄い理由

要因としては以下が有ります。

  • 飲食店の時短制限は20時前に混雑するだけなので効果が薄い
  • 都内で仕事をする人が戻ってきている
  • 緊急事態宣言に対する緊張感が薄れている

現状、感染しやすいデルタ株を既存のコロナウィルスと同様の基準で考えて緊急事態宣言を出していると言えます。イギリスの増加量を見ると、5月初めに感染者が底をついて1か月後に3倍に増えています。一方、日本は6月中旬と7月中旬の7日間平均を見るとおよそ3倍になっています。そのため、緊急事態宣言の効果が出ていないと言えます。イギリスはその後も増えている事から、今後も増えるでしょう。(イギリスではむしろ、途中からマスクを外しましたが)

代替案

文句ばかり言っていても仕方が無いので代替案を挙げます。

私見ではありますが、緊急事態宣言により飲食店に限定して締め付けるより、リモートワークをより推奨した方が良いのではないでしょうか?結局、都内で活動する人が多いから感染が拡大するのだから、そこを抑えるのが本筋でしょう。
私の代替案は以下の通りです。

  • リモートが可能な業種には積極的なリモートワーク実施を依頼する。
  • リモート関連の機材は仕事用、私用に関わらず補助金を出し購入を支援する。
  • 飲食店の営業は、つい立の利用徹底や大皿料理禁止は当然として、営業時間の延長し酒の提供は時間限定で可能とする。
  • 出前の費用は補助金により飲食店の営業を支援する。

リモートにより人の動きが減れば飲食店の集客は減へるので、店舗での感染は減ります。また、まん防により「従業員の20時までの早期終業・帰宅を要請」とあるため、飲食店の20時営業終了は19時台の混雑を招きます。そのため、例えば飲食店の営業は22時までとすれば、混雑を避けることが出来るでしょう。酒の提供も例えば19時までとすることで軽く飲む程度に抑えることが出来るのではないでしょうか?
飲食業にはどちらにしても売り上げの低下要因は残ってしまいますが、現在の緊急事態宣言よりは締め付けは緩んでいると思います。

なお、私はIT系の仕事をしているのでリモートワークが可能なハズなのですが、職場の方針により毎日出勤しています。企業がコストのかかるリモートワークをしたくないという考えはある程度理解できますが、この辺は行政がもっと圧力をかけても良いのでは?と思っています。

まとめ

数値を見る限り、コロナの脅威は大分減っていると私は考えています。ただ、20代から50代の方でも重症化が見られるため、安心しきらないよう気を付けて頂きたいと思います。

現状、デルタ株による感染者が増えており、今後も増えるでしょう。対して、死者、重症者があまり増えていません。元々、60代以上や基礎疾患が有る方のリスクが高かったですが、ワクチンにより抑えられたイメージです。現状、重症者の半数が60代以上なので、残り半分については50代以下の方のワクチン接種が進めば減っていくでしょう。したがって、今後も感染者数が増えても重症者、死者数は増えにくいと考えています。

また、新たに中外製薬より治療薬の承認申請が出ているため、生産数量の問題は有るにしても重症化のリスクはさらに減らす期待が出来ます。(詳しくはコチラ)

したがって、ある程度の感染対策はした方が良いけど、現在のような飲食店をイジメるだけの緊急事態宣言は全く意味が無いと思います。感染者を増やしたく無いのであれば、行政にはもっと根本的な対応をして頂きたいと切に思いました。

先述の通り、イギリスの例も有るので感染者は増え続けると思います。絞めすぎるのも良く無いですが、気持ちを緩めすぎて感染して最悪後遺症に悩まされても嬉しく無いので、適度に調整して乗り切って頂ければと思います。

オマケ

当ブログではお金に関する話をメインに書いていましたが、今回は余りにも酷い緊急事態宣言が発令されたため考察を載せました。(デルタ株拡大により株価が落ちている事も要因として有りますが。)

ワクチンの早急な摂取により、早くこの状況を終息させて自由に出掛けたいですね。

それはそうと、デリケートな内容なだけにかなり書くのにかなり時間がかかってしまいました。当面この手のデリケートな内容には手を出さない方が良いと痛感しました・・・。

コメント

タイトルとURLをコピーしました